夏ばての予防と対策  

冷房病の原因と対策

・微量栄養素欠乏症の原因と対策

夏ばてぎみのときの食事

・夏ばてを防ぐ食生活(レシピ付き)

・運動時の水分補給のポイント  

                           平成11年6月5日院内講演資料                     藤本循環器科・内科    

 梅雨が明けると、いきなり真夏がやってきます。若い人や夏の好きな人にとっては、毎日が楽しいことでしょう。暑いところでの仕事や運動も、汗をかけば気持ち良いものですが、「暑さ」という急激な気候の変化に慣れるには、一〜二週間はかかります。十分夏の気候に慣れた人でも、水分や栄養不足、熱帯夜翌日の睡眠不足、疲れ過ぎ、ビールを飲んでの炎天下のゴルフ等は極度に体力を消耗するもので、これらをまとめて「夏ばて」と言います。一口に夏バテと言っても、その原因は大きく2つに分けられるようです。その一つが冷房病、もう一つが微量栄養素欠乏症と呼ばれています。  この主な夏ばての原因は、身体の水分が急激に少なくなり血液が濃縮されて、いわゆる「脱水症状」が起こるために「血液や体液の循環と調節」がうまくいかなくなるためです。 症状としては、身体がだるく、めまい、頭痛、発熱、耳鳴り、冷汗、顔面蒼白などが起こります。また、多量の水分が失われますと、脈拍が早くなり、尿の出かたが少なくなり、その色も極端に濃くなります。  夏ばてを予防するためには、先にお話した原因を避けることですが、特に暑い時には、帽子をかぶったり、肌を直射日光に当てないようにし、なるべく風通しの良いところで過ごすように心がけるのが一番です。また体調を整えながら、運動や仕事に取り組むことも必要です。衣類については、下着は風通しがよく汗を吸収しやすい綿製品が適しており、上着は光を反射する白色のものが適しています。  夏ばてと思われた時は、いきなり冷たい水を飲むより、風通しの良い日陰で横になり、スポーツドリンクか、温かい番茶や麦茶等を飲んだほうが良いでしょう。また少量の塩をなめるのも一つの方法です。 重症の場合は言うまでもなく、近くのお医者さんで診てもらい、点滴等の治療を受ける必要があります。一般的に夏に弱いタイプの人は、血圧が低かったり、胃下垂のある体系の人に多いようです。

  冷房病の原因と対策    冷房病というのは、「不適応症候群」の一種で、冷房によって体の温度が下がり毛細血管の収縮を引き起こした結果、全身的な血行不良を引き起こすことを言います。   ところが、これらの症状は全ての人に同じように現れるものでなく、その人の内的な因子によって様々に現れるようです。  これらの冷房病は、

      冷房の冷やしすぎ  

     冷風を直接体に当てる  

     温度差の激しい場所の出入り  

といった3つが主な原因と考えられています。特に温度差の激しい場所の出入りは自律神経失調を引き起こすこともあり、注意が必要です。  冷房病が特に多いのは、オフィスで働く女性や乳幼児・高齢者などです。具体的な対策としては、       外気との室温差を7度以内にする

      冷房の際は室温を27〜28度にする

      冷気を直接肌にかけない

    等が考えられます。また、予防策として、ぬるめのお風呂にゆっくり入り、マッサージを行うなどして、血行を良くするとよいでしょう。

微量栄養素欠乏症の原因と対策

   暑さにやられて食生活に偏りが出ると、ビタミンやミネラルが不足します。そして、ビタミンやミネラルの不足が原因で体がだるくなり、更に食欲不振を引き起こす悪循環に陥り、夏バテの症状を起こします。こういったビタミンやミネラルの不足の状態を微量栄養素欠乏症と呼びます。    対策としては、

      バランスの良い食事を行う

   これしかありません。食事の際は少量でも多くの種類の食べ物を食べるように心がけて下さい。また、総合ビタミン剤などの健康補助食品の服用も効果があります。  

  夏ばてぎみのときの食事

暑さで参ってしまい食欲が減退気味であっても、偏りなく、栄養のバランスがよくとれたものが望ましいのは夏に限ったことではありません。夏ばてを解消するには『旬な食材を食卓へ』という気持ちが大事です。既に6月頃より夏 の健康を保つための前売り券が出回っていると考えてください。例えば、タイミングよく新玉葱やラッキョウが店頭を賑わせます。玉葱が疲労回復や心地よい睡眠に効果があるのは、硫化アリール成分を含むからだといいます。 そして、やはり夏ばてをしない代表食品としてあげられるのは古くは大伴家持、平賀源内等も食したと言われるビタミンAの多いウナギ。一回に召し上がる分量を多くするのではなく、ごはんや野菜や果物も取り合わせていただく様にすることがバランス食につながります。 ウナギの優れている点は、ビタミンA,B1,B2,タンパク質やカルシウム,リン,鉄,ナトリウムなどをバランス良く含んでいることです。ウナギの脂肪は目によく、また脳の活性化に役立つとも言われます。ある時にはうな丼、ある時にはう巻卵、ある時にはウナギ寿司と変化をつけ、夏は三日に一度位が理想の食し方だと思います。  「食欲がない」といって、冷たい飲み物やおかずなしの冷たいめん類ばかりを食べていてはだめ。これらは胃液を薄めたり、消化能力を低下させ、ますます食欲不振に陥ってしまいます。  気温と湿度の高い夏は、生体の基礎代謝量は落ちますが、ストレスがかかるため、たんぱく質の消費量は増えるのです。食欲不振でさっぱりしたものばかりをとって、食事の内容が糖質に偏ると、たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足し、夏ばてはさらに進行します。  しかし、だるいとき、「あれこれ料理をつくりなさい」というのは酷なものです。そういうときには温かいスープの献立をお薦めします。  一つのなべに、いくつかの野菜と肉、魚、豆腐、乳製品など、たんぱく質源となる材料を何か組み合わせて入れ、いっしょに煮てしまいます。スパイスをきかせたり、梅干しの酸味を生かしたり、みその風味で仕上げたりと、ひと工夫してみて下さい。温かさは疲れた胃にやさしく働き、柔らかく煮ると、消化力の落ちた人にも勧められます。何より、素材のうまみが相乗したスープのおいしさが、食欲を起こしてくれるのもうれしいところです。  夏ばての回復には、バランスのよい食事をとるよりほかに手はありません。量は少なくても、多種類の食品をとることで、不足しがちな微量栄養素がとれるのですから。  

夏ばてを防ぐ食生活 

夏ばての魔の手から逃れる早道は、たんぱく質をとること。

胃の粘膜を保護しつつ、たんぱく質を補給できる食品のご案内です。  

<低下した胃腸を優しくサポートする豆腐>  

消化吸収を助ける働きで疲れた胃腸を優しくサポートしてくれます!!   「畑の肉」と呼ばれる大豆を主原料にする豆腐は、その栄養的特徴をほとんど受け継ぎ、必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質のたんぱく質をはじめ、コレステロールを代謝するリノール酸、ビタミンB1、E、カリウムなど、豊富な成分がぎっしりと詰まっています。また、大豆オリゴ糖が主成分になっている糖質も含まれており、これは腸の働きを整えて活性化させ、消化吸収を助ける作用をもっています。胃腸が弱ったときに豆腐がいいといわれるのはこのためで、夏ばてで食欲のないときでも、栄養補給になるばかりか機能が低下した胃腸を優しくサポートし、食欲を増進してくれるのです。  

● おすすめレシピ 1         

 やわらか食感が胃をいたわる「豆腐のグラタン」  

★材料(2人分)豆腐1/2丁 ミートソース缶詰1/2缶 ピザ用チーズ50g   パセリ少々 バター少々  

★作り方

1. 豆腐は2等分し、電子レンジにラップをしないで2分弱加熱し、水気を切る。

2. 耐熱容器に薄くバターを塗り、1を入れ、ミートソース、チーズをのせオーブンで12 分ほど焼く。

3. 2にパセリのみじん切りを散らし、アツアツのうちに食べる。  

  <肝臓の強力なボディーガードの役割をする枝豆>  

大豆以上の栄養価で夏ばて防止!!

  お酒のつまみとしておなじみの枝豆は、大豆を未成熟なうちに枝ごと収穫したものです。ビールに枝豆と言えば、これはもう夏の風物詩的な存在ですが、同時に、たいへん理にかなった組み合わせとも言えます。と言うのも、夏はどうしても暑さによる飲み過ぎで肝臓がオーバーワークになりがち。枝豆には肝臓をアルコールの害から守ってくれる成分メチオニンが含まれているので、ビタミンB1、Cとともにアルコールの分解を助けて、肝臓への負担を軽減してくれるのです。また、枝豆は夏ばての原因の一つ、食欲不振からくる栄養不足も解消してくれます。なぜなら、枝豆は大豆同様栄養価が高く良質のたんぱく質やビタミンB1、B2、カルシウム、食物繊維を多量に含むうえ、大豆にはないビタミンCも豊富な野菜。栄養不足を防ぐには良質のたんぱく質や疲労回復に役立つビタミンB1を補給する事が大切ですが、枝豆はその両方を兼ね備えた優秀な緑黄色野菜なのです。  

● おすすめレシピ 2 

       緑のアクセントが食欲を刺激「枝豆いり地中海風マリネ」  

★材料(2人分)ゆでだこの足1本 きゅうり1/2本 プチトマト4個  セロリ1/4本 枝豆150gバジル葉2枚 

    A(オリーブオイル大1 レモン汁大1 白ワイン大1/2 塩、胡椒少々)  

★作り方

1. たこは熱湯にさっとくぐらせ冷水に取り、乱切りにしAに漬ける。

2. きゅうり、セロリは乱切りにし、塩を軽くふり10分ほど置く。  プチトマトは半分に切る。枝豆はゆでてさやから豆を出す。 3. 1と2を和え、バジルの葉の刻んだ物を混ぜ、彩りよく盛り付ける。  

  <弱った胃腸に優しいもやし>

  弱った胃腸に優しく働く消化酵素アミラーゼ   もやしの種類は数多く、代表的なものに大豆もやしや緑豆もやし、最も一般的なブラックマッペなどがあり、サラダでおなじみのアルファルファもその仲間。いずれのもやしも豆を発芽させたものですから、植物性たんぱく質をはじめとして、ビタミンB1、B2、カルシウム、鉄分など豊富な栄養素が多量に含まれているのが特徴です。さらに発芽することによって、豆本体にはほとんどなかったビタミンCが一気に増加するほか、消化酵素のアミラーゼも生まれます。アミラーゼには胃腸の働きを整えてくれる作用がありますので、夏ばての時や食欲がないとき、弱った胃腸に優しく働き健康な状態にして食欲を増進してくれます。  

● おすすめレシピ 3

     弱った胃に優しく作用、具だくさんの「もやしの韓国風スープ」  

★材料(2人分)だいずもやし50g ささみ30g ワカメ40g  チキンコンソメ小2 醤油大1/2 塩・胡椒少々 胡麻油小1 白胡麻小1

  ★作り方

1. 鍋に水を2カップ煮立て、チキンコンソメ、醤油を入れる。

2. 1に細く切ったささみ、だいずもやし、食べやすい大きさに切ったワカメをいれる。

3. 2に塩・胡椒で味付けし、胡麻油・白胡麻を入れ火を止める。

  <疲労回復のビタミンCが豊富に含まれるししとうがらし>  

ベータカロチンとビタミンCで弱った体に活!!  

ししとうがらしの最大の特徴は、ベータカロチンとビタミンCの豊富な含有量。目にも鮮やかな緑色は葉緑素によるもので、ベータカロチンをたっぷり含んだしるしです。 ビタミンCには体の免疫機能を高め、疲労を回復する働きがありますので、夏ばてで弱った体に活を入れて食欲を増進してくれます。夏から秋にかけてが旬なので、食欲がないことからつい栄養不足になりがちな時期、新鮮でしかも安価なものをたっぷり食べられるのもうれしいところ。炒め物、揚げ物などにして積極的に食べたいものです。  

● おすすめレシピ 4

      ピリッとした味で暑さ吹き飛ぶ「ししとうがらし入り納豆」  

★材料(2人分)納豆1パック 醤油小1 練り辛子少々 かつお節20g  ししとうがらし4本 焼きのり少々

★作り方

. 納豆は器に移し、醤油・練り辛子を入れる。

2. ししとうがらしは熱湯でサッと湯通しをし、へたを取り薄く輪切りにする。

3. 1・2・かつお節をよく混ぜ、手で焼きのりをちぎって入れる。

 

    運動時の水分補給のポイント  

POINT1:低糖分のドリンクがベスト  ほとんどのスポーツドリンクは糖分を約6%含んでいます。しかし、水分の吸収が最も速いのは2.5%以下のもの。また、塩分や他のミネラルを適当に含んでいるものが理想的です。

POINT2:一度にたくさん飲み過ぎない  水分の吸収が速いスポーツドリンクともいえども完全に体内に吸収されるまでには時間がかかります。一度にコップ一杯以上は飲まないようにしましょう。  

POINT3:こまめに摂る  運動前後の体重の変化から運動中に失う水分量をあらかじめ調べておきましょう。練習や試合時に、その分を少量ずつこまめに補給します。一回100cc〜200cc(コップ一杯)までとし、少なくとも10分〜15分間隔をあけて飲みましょう。  

POINT4:適度に冷やしておく  気温が高いときには適度に冷やしておくと、のどごしがさわやかになるでしょう。  

POINT5:運動前に水分を補給しておく  運動時間が長くなることが予想され、途中で水分補給をしにくい場合、事前に水分を補給しておきましょう。その場合、少なくても30分前までには飲むようにし、胃内に水分が残留していないようにしましょう。

                             参考資料:東仁給食センター・ 栄養アドバイザー加藤スサ                                    吉田内科クリニック 各インターネット資料他

戻る     TOPに戻る