資料:ボケは防げる(金子満雄先生の講演・著書より引用)
      高齢者教室  平成11年3月25日  藤本循環器科・内科
病因の見つかるのは全痴呆の7%程度で、大部分は老化・廃用型痴呆である。
痴呆とは悪い習慣を持った親がその子供にも悪い習慣を伝えたという伝染病みたい
な家族の病気である。感性豊かな家族には痴呆はない。
                        感性の乏しさは悪性の伝染病
正常から痴呆への移り変わり
   正常高齢者                      発達年齢
    ↓
   前痴呆(社会生活に支障)…例えば会計を間違える     8歳
     そろそろボケ
   軽症痴呆(家庭生活に支障)               7歳
     おやおやボケ:
       子供のことがいえる位              5歳
   重度痴呆(セルフケアにも支障)              4歳

痴呆の重症度(軽:中:重=2:2:1)
1)軽度痴呆:家庭生活には支障がないが、社会生活には一部支障がある。
       人のお世話役がやれない。
2)中度痴呆:セルフケアは出来るものの家事(炊事・洗濯・庭の手入れ)が
       出来ないレベル。概ね子供の5歳から7歳程度。
3)重度痴呆:従来痴呆と呼ばれたレベル。セルフケアも十分に出来ない。
       回復が困難。4歳以下。
生活から見たボケの診断
軽度痴呆の症状(以下のうち4つ以上)
1. 一日や一週間の計画が自分で立てられない。(指示待ち人)
2. 三つ以上の用事を同時の並行してさばけない。(秋刀魚・風呂のことを頼まれて
もほかのことをしていると忘れてしまう)
3. 反応が遅く、動作がもたもたしている。(目の動き・太股の衰え・階段の手すり・
ぐうたらである)
4. 同じことを繰り返し話したり、尋ねたりする。
5. 無表情、無感動の傾向がみられる。 
6. ぼんやりしていることが多い。
7. 生き甲斐を感じていない。
8. 根気が全く続かない。
9. 発想が乏しく、画一的になる。
10. 相手の意見を聞こうとしない。

中度痴呆の症状(軽症にプラスして以下の4項目以上)
11. 何度教えても月日があやふやになる。
12. 料理がうまくできず、味付けが変になる。(みそ汁の味、品数が減る)
13. 今まで出来ていた家庭内の簡単な仕事が出来なくなる。(皿洗いなど)
14. ガス、風呂の火、電気、水道の止め忘れが目立つ。
15. 身だしなみに無頓着になる。
16. 季節や目的にあった服を選べない。
17. 薬をきちんと飲めない。
18. 昨日のことをすっかり忘れてしまう。
19. 簡単な計算もできない。
20. お金や持ち物の置き場所を忘れ,「盗まれた」と騒ぐ。 

重度痴呆の症状(軽症・中等にプラスして以下の3項目以上)  
21. 洋服の着方がいい加減になる(または一人では服が着られない)。
22. 自分の子供の数、順序、現況が分からない。
23. 風呂にはいることをいやがる。
24. 汚れた下着を平気で着ている。
25. 食事を済ませたことをすぐ忘れる。
26. 自宅が分からなくなる。
27. 家庭生活や全般生活(入浴・食事・トイレ)に介助が必要になる。
28. 独り言や同じ言葉の繰り返しが多くなる。
29. 誰もいないのに「他人がいる」と言う。
30. 大小便の失禁やトイレを汚すようになる。

かなひろいテスト
制限時間2分間で、次のようなおとぎ話からなるべく速く「あ、い、う、え、お」
の字を落とさないように拾うと良い成績がとれる。不合格ラインは50歳代15以
下、60歳代10以下、70歳代9以下、80歳代8以下。
年齢群別痴呆頻度
(約9000人の地域住民から、軽・中・重症の痴呆を含む)
       50歳代        5%
       60         12%
       70         30%
       80         52%
       90         75%
      100         97%
                       もう歳と思う心がボケ招く
      80歳を過ぎて惚けてないのは外に出て何かをしている人
      新聞を読まなくなったら…世の中のことがわからなくなる
      50,60歳で惚けるのは仕事以外に何もなく、感性もない人

痴呆の発現頻度と予防対策
町の人口(仮定)        10000人
高齢者人口(65歳以上)     3000人
全痴呆者数(痴呆化率約30%)  1000人
重症度別頻度(軽・中・重)    2:2:1
重度のうち要収容数         約60人
脳リハビリ施設          8カ所必要
(近所の話・ゲーム・歌・餅つき、1カ所に100人、週3回50人ずつの2組)
                    薬より脳リハビリがボケ治す
痴呆の病因別頻度  (1467例)
 老化・廃用型(アルツハイマー型)    1320例(90.0%)
 アルツハイマー病(内因性変性性)      17例( 1.1%)
 血管性(主幹動脈型ほか)          71例( 4.8%)
 二次性(正常圧水頭症、脳腫瘍など)     35例( 2.4%)

   血管性は突然起こるのでわかる。多くはない。
   アルツハイマー病は少ない。
   生活上の老化・廃用が多く、グウタラボケであり、アルツハイマー型
                という病名が悪い

病因からの痴呆分類
1.老化・廃用型痴呆…90%を占める。
  通常は60歳以降に、数年の無為な生活に引き続き起こる。若い頃から
  生き甲斐・趣味・交友のない人に多い。数ヶ月わたる療養、入院生活が
  原因となることも。(生活習慣病の痴呆)
2.脳血管性痴呆…5%以下の頻度。
  突発性でまだら痴呆を呈する。多発性ラクナはふつう原因とはならない。
3.二次性(症候性)痴呆…約2.5%位。
  正常圧水頭症、慢性後膜下血腫などによる痴呆。     
4.アルツハイマー病…おそらく遺伝子素因によるもので、頻度は1%程度と
  少ない。40代50代で発症し、早期治療にも反応せず、どんどん進行
  する。 

老化・廃用性痴呆の悪化因子
1) 個人的要因:若い頃から仕事一辺倒で生き甲斐、趣味、交友がない。
2) 家族的要因:配偶者や子供たちも感性に乏しく思いやりがない。家族内に冗談
を言い合ったり、一緒に遊んだりするムードがない。一人住まい又は核家族。
若夫婦が共働き。
3)社会的要因:都会の子供のマンションに転居したが近所との交際がない。

脳血管性痴呆の鑑別上の注意事項
1) 脳卒中の既往があっても、血管性痴呆とは限らない。
2) Hachinski単位が高くても血管性痴呆とは限らない。(単位がごく低いときの
み、血管性痴呆の可能性が低いといえる)
3) 一般の生活態度、発症の仕方、多発巣症状、一側半球症状が優先などに注目す
る。
4) 頭部CT,MRI、脳血管撮影、脳血流測定、精密神経心理機能テストなどが
最低必要である。

感性とは
 左半球の知性に対応するもので、本来右半球で果たす感性の守備範囲は広く、音
楽、絵画などの芸術分野、詩歌、小説などの文学領域、ゲーム・スポーツなどの趣
味、遊びの分野、友情や意欲、生き甲斐などの情報分野にわたる。人を愛するとき、
尊敬する人物像を心に抱くとき、信仰に帰依する時など、その背後で常に主役を演
じている。

感性のない男の特徴
1) 話が理屈っぽく、冗談やユーモアが言えない。
2) 笑顔が少なく、家族にも優しい言葉をかけず
3) 無趣味で、音楽やゲームを馬鹿にする
4) 真面目一途で、仕事、地位やお金に執着する
5) 一日の生活が定型化している
6) 上にぺこぺこ、下にがみがみの傾向あり
7) 親友も女友達もいない
8) 動物や花に愛情を持たない

感性のない女の特徴
1) 笑顔が少なく、とんち、ユーモアなし
2) 夫に優しい言葉も厳しい言葉も言えない
3) 外聞や体裁をえらく気にする
4) 子供には小言が多く勉強だけを強制する
5) 自分も趣味、遊びのない生活をする
6) 親友も男友達もいない
7) すべてに控えめで、出不精な傾向
8) 花や動物に愛着を持たない
ボケを防ぐかきくけこ  (大島 清先生より)
かんどうする(毎日何か一つでも)
きょうみをもつ(何にでも興味を持つ)
くふうする(何かにぶちあたると感性・直感などで)
けんこう(一次予防・二次予防)
こい(胸をときめかす)
                      ときめいて生きる心にボケはなし

痴呆の多くは真面目一途の仕事人間タイプで、若い頃から勉強・仕事はできたが、
音楽や絵に感動せず遊びもしたことがない様な人。
家族の中にたった一人でも、親身に面倒を見、遊んでくれる人がいればお年寄りは
ボケないですむ。
                       愛のある家族はボケの名医なり

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